肉を切らせて骨を絶つ。
先輩に話を聞いたのですが、その昔の大阪十三に3,000万円のナポレオンの帽子を買ったひとがいたらしい。その人、冨岡徳太郎。ミナミでの丁稚を経て独立し、死に物狂いで頑張ったんでしょうねー、その後に「十三のキャバレー王」として君臨したそうです。戦後の十三のにぎわいを作った冨岡さん。夜を盛り上げる仕事なのであんまり前に出てこなかった人のようですが、かなり好きになったので文字にしますね。
キタ・ミナミ(大阪の繁華街)に集う客を奪うには、大きな投資が必要。
しかし、かわいい女性を置いただけでは誰も来ない。そしてある日、運命的に出会った「世界に一つしかないナポレオンの帽子」を手に入れ、そのお店においたそうです。そりゃひとがあつまりますよね。だってルーブル美術館の証明書付きのこの帽子。「絶対みたい!」キタやミナミに集っていた経営者や有知識者たちはこぞって十三に足を運び出したとのこと。
なるほどの戦法ですよねー。この冨岡さん。そのあと多くの飲食店を出店され、念願のミナミへの出店も実現されたようです。大阪らしい商売人の知恵を感じますねー。
それで、こっからがポイント。
ひとしきり商売を成功させたあと、この帽子を転売しようと考えたそうです。オークションにかけたら3億円が始値。それがわかったとたん、寄付を求める慈善団体が相当多く、もうそのお願いをかわすのが大変だったそうです。また…よくよく考えると、転売した利益の半分以上を税金で持っていかれてしまうという事実にも閉口し、だったらいままでの感謝の意をこめて、フランスに返却しようとおもったそうです。まさに…
noblesse oblige(貴族の責任)
に合致する行動。潔くカッコイイですね。フランスの大使館員はその声掛けに即応答し、馳せ参じて「いくらですか?」と聞くと「タダで返す」と一言(いい話やわー)。
いまは、ルーブル美術館で展示されているこの帽子。いろんなドラマを見てるんですねー。ナポレオンとの時間からはじまり、大阪「浪速(なにわ)」での商売人との時間。21世紀はどんなドラマを目にするのかなー。楽しみです。
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